はじめに (対象読者・この記事でわかること)

この記事は、JavaScriptでウィンドウ操作に興味があるWeb開発者を対象としています。特に、ポップアップウィンドウや子ウィンドウを親ウィンドウの操作に影響されずに表示し続けたい方に向けた内容です。この記事を読むことで、JavaScriptで親ウィンドウにフォーカスが当たっても子ウィンドウを表示し続ける方法が理解できます。具体的には、windowオブジェクトのイベントリスナーを使い、focusイベントを監視して子ウィンドウを再表示するテクニックを学べます。また、この実装が必要になるシーンとして、ポップアップチャットウィンドウや通知ウィンドウなどのユーザーインターフェース設計の知見も得られます。

前提知識

この記事を読み進める上で、以下の知識があるとスムーズです。 - JavaScriptの基本的な知識 - HTML/CSSの基本的な知識 - windowオブジェクトとDOM操作の基本的な理解

なぜ親ウィンドウにフォーカスが当たっても子ウィンドウを表示し続ける必要があるのか?

Webアプリケーション開発において、親ウィンドウにフォーカスが移動しても子ウィンドウを表示し続けたいケースは多く存在します。例えば、チャットアプリケーションで、ユーザーが別のタブやウィンドウに切り替えてもチャットウィンドウが閉じないようにしたい場合や、通知システムで重要な通知が見逃されないようにしたい場合などです。

通常、JavaScriptで開いた子ウィンドウは、親ウィンドウが別のウィンドウにフォーカスを移すと自動的に閉じたり、アクティブでなくなったりします。これはブラウザのデフォルトの動作であり、ユーザー体験の観点からは望ましくない場合があります。

この問題を解決するためには、親ウィンドウのfocusイベントを監視し、フォーカスが移動した際に子ウィンドウを再表示する必要があります。このアプローチにより、ユーザーが別のタブやアプリケーションに切り替えても、重要なコンテンツや機能が常に利用可能になります。

また、この技術はマルチウィンドウアプリケーションやダッシュボード型のWebアプリケーションで特に有用です。例えば、メインコンテンツを親ウィンドウに表示しつつ、常にサブコンテンツやツールウィンドウを表示しておきたい場合などです。

さらに、この技術はユーザー体験を向上させるだけでなく、ビジネス要件にも対応できます。例えば、オンラインストアで、ユーザーが商品詳細ページに移動してもカートウィンドウを表示し続けることで、購入率を向上させる可能性があります。

具体的な実装方法

では、具体的にJavaScriptで親ウィンドウにフォーカスが当たっても子ウィンドウを表示し続ける方法を実装していきましょう。ここでは、window.open()で開いた子ウィンドウを親ウィンドウのフォーカス状態に関わらず表示し続ける方法を中心に解説します。

ステップ1:子ウィンドウの作成

まずは、基本的な子ウィンドウの作成から始めます。以下のコードは、ボタンクリック時に新しいウィンドウを開くシンプルな例です。

Html
<!DOCTYPE html> <html lang="ja"> <head> <meta charset="UTF-8"> <meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1.0"> <title>親ウィンドウ</title> </head> <body> <h1>親ウィンドウ</h1> <button id="openChildWindow">子ウィンドウを開く</button> <script> document.getElementById('openChildWindow').addEventListener('click', function() { // 子ウィンドウを開く const childWindow = window.open('child.html', 'childWindow', 'width=400,height=300'); // 子ウィンドウが正しく開かれたか確認 if (childWindow) { console.log('子ウィンドウが開かれました'); } else { console.log('ポップアップがブロックされました'); } }); </script> </body> </html>

このコードでは、ボタンがクリックされるとwindow.open()メソッドを使って新しいウィンドウを開いています。第3引数にはウィンドウのサイズなどのオプションを指定しています。

ステップ2:親ウィンドウのfocusイベント監視

次に、親ウィンドウがフォーカスを失ったときや再度取得したときのイベントを監視する処理を実装します。これにより、親ウィンドウのフォーカス状態を追跡できます。

Javascript
// 親ウィンドウのスクリプト const childWindow = null; document.getElementById('openChildWindow').addEventListener('click', function() { // 子ウィンドウを開く childWindow = window.open('child.html', 'childWindow', 'width=400,height=300'); if (childWindow) { console.log('子ウィンドウが開かれました'); } else { console.log('ポップアップがブロックされました'); } }); // 親ウィンドウがフォーカスを失ったとき window.addEventListener('blur', function() { console.log('親ウィンドウがフォーカスを失いました'); }); // 親ウィンドウがフォーカスを取得したとき window.addEventListener('focus', function() { console.log('親ウィンドウがフォーカスを取得しました'); });

このコードでは、window.addEventListener()を使ってblurイベントとfocusイベントを監視しています。blurイベントは要素がフォーカスを失ったときに発生し、focusイベントは要素がフォーカスを取得したときに発生します。

ステップ3:子ウィンドウの表示状態を維持する

ここが本題の部分です。親ウィンドウがフォーカスを失っても子ウィンドウを表示し続けるには、以下のような処理を実装します。

Javascript
// 親ウィンドウのスクリプト let childWindow = null; document.getElementById('openChildWindow').addEventListener('click', function() { // 子ウィンドウを開く childWindow = window.open('child.html', 'childWindow', 'width=400,height=300'); if (childWindow) { console.log('子ウィンドウが開かれました'); } else { console.log('ポップアップがブロックされました'); } }); // 親ウィンドウがフォーカスを失ったとき window.addEventListener('blur', function() { console.log('親ウィンドウがフォーカスを失いました'); // 子ウィンドウが存在する場合 if (childWindow && !childWindow.closed) { // 子ウィンドウを前面に表示する childWindow.focus(); } }); // 親ウィンドウがフォーカスを取得したとき window.addEventListener('focus', function() { console.log('親ウィンドウがフォーカスを取得しました'); // 子ウィンドウが存在する場合 if (childWindow && !childWindow.closed) { // 子ウィンドウを前面に表示する childWindow.focus(); } });

このコードでは、親ウィンドウがフォーカスを失ったとき(blurイベント)と取得したとき(focusイベント)の両方で、子ウィンドウにフォーカスを当てています。これにより、親ウィンドウのフォーカス状態に関わらず、子ウィンドウが常に前面に表示されるようになります。

また、childWindow.closedプロパティを使って、子ウィンドウがまだ開いているかどうかを確認しています。これにより、ユーザーが子ウィンドウを手動で閉じた場合でもエラーが発生しないようにしています。

ステップ4:より実用的な実装

実際のWebアプリケーションでは、より高度な実装が必要になることがあります。以下は、より実践的なコード例です。

Javascript
// 親ウィンドウのスクリプト let childWindow = null; let isChildWindowVisible = true; document.getElementById('openChildWindow').addEventListener('click', function() { // 子ウィンドウを開く childWindow = window.open('child.html', 'childWindow', 'width=400,height=300'); if (childWindow) { console.log('子ウィンドウが開かれました'); // 子ウィンドウが読み込まれたときの処理 childWindow.onload = function() { console.log('子ウィンドウが読み込まれました'); }; // 子ウィンドウが閉じられたときの処理 window.setInterval(function() { if (childWindow && childWindow.closed) { console.log('子ウィンドウが閉じられました'); childWindow = null; isChildWindowVisible = false; } }, 1000); } else { console.log('ポップアップがブロックされました'); } }); // 親ウィンドウがフォーカスを失ったとき window.addEventListener('blur', function() { console.log('親ウィンドウがフォーカスを失いました'); // 子ウィンドウが存在し、表示されている場合 if (childWindow && !childWindow.closed && isChildWindowVisible) { // 子ウィンドウを前面に表示する childWindow.focus(); } }); // 親ウィンドウがフォーカスを取得したとき window.addEventListener('focus', function() { console.log('親ウィンドウがフォーカスを取得しました'); // 子ウィンドウが存在する場合 if (childWindow && !childWindow.closed) { // 子ウィンドウを前面に表示する childWindow.focus(); } }); // 子ウィンドウの表示状態を切り替える関数 function toggleChildWindowVisibility() { if (childWindow && !childWindow.closed) { if (isChildWindowVisible) { // 子ウィンドウを非表示にする childWindow.blur(); } else { // 子ウィンドウを表示する childWindow.focus(); } isChildWindowVisible = !isChildWindowVisible; } } // ボタンにイベントリスナーを追加 document.getElementById('toggleChildWindow').addEventListener('click', toggleChildWindowVisibility);

このコードでは、以下の改善点があります:

  1. isChildWindowVisibleフラグを使って、子ウィンドウの表示状態を追跡しています。
  2. 子ウィンドウが閉じられたことを検出するために、定期的にchildWindow.closedをチェックしています。
  3. 子ウィンドウの表示状態を切り替えるtoggleChildWindowVisibility関数を実装しています。
  4. 子ウィンドウが読み込まれたときの処理を追加しています。

ステップ5:子ウィンドウ側の実装

子ウィンドウ側でも、親ウィンドウとの連携を行うことができます。以下は子ウィンドウ側の実装例です。

Javascript
// 子ウィンドウのスクリプト // 親ウィンドウへの参照を取得 const parentWindow = window.opener; // 親ウィンドウにメッセージを送信 function sendMessageToParent(message) { if (parentWindow) { parentWindow.postMessage(message, '*'); } } // 親ウィンドウからメッセージを受信する window.addEventListener('message', function(event) { // 安全のために送信元を検証 if (event.origin !== window.location.origin) { return; } console.log('親ウィンドウからメッセージを受信:', event.data); // メッセージに応じて処理を実行 if (event.data === 'close') { window.close(); } }); // ボタンにイベントリスナーを追加 document.getElementById('sendMessageToParent').addEventListener('click', function() { sendMessageToParent('こんにちは、親ウィンドウ!'); }); document.getElementById('closeWindow').addEventListener('click', function() { window.close(); });

このコードでは、以下の機能を実装しています:

  1. window.openerを使って親ウィンドウへの参照を取得しています。
  2. postMessage APIを使って親ウィンドウと安全に通信しています。
  3. 親ウィンドウからメッセージを受信したときの処理を実装しています。
  4. 子ウィンドウを閉じるボタンを追加しています。

ハマった点やエラー解決

この実装を行う際に、以下のような問題に直面することがあります。

問題1:ポップアップブロッカーによるウィンドウの開放失敗

多くのブラウザでは、ユーザーによる明示的なアクション(ボタンクリックなど)以外からポップアップウィンドウを開こうとするとブロックされます。これにより、window.open()が失敗し、nullが返されることがあります。

解決策: - ユーザーによる明示的なアクション(ボタンクリックなど)からのみウィンドウを開くようにします。 - ウィンドウが開けたかどうかを確認し、開けなかった場合はユーザーに通知します。 - ポップアップブロッカーを無効にするようユーザーに依頼します。

Javascript
document.getElementById('openChildWindow').addEventListener('click', function() { // 子ウィンドウを開く const childWindow = window.open('child.html', 'childWindow', 'width=400,height=300'); if (childWindow) { console.log('子ウィンドウが開かれました'); } else { // ポップアップがブロックされた場合の処理 alert('ポップアップがブロックされました。ポップアップブロッカーを無効にしてください。'); } });

問題2:クロスオリジン制約によるセキュリティエラー

異なるオリジン(ドメイン、プロトコル、ポートが異なる)間でウィンドウを操作しようとすると、セキュリティ上の理由で制限がかかります。

解決策: - 同一オリジンポリシーの範囲内で操作を行います。 - 必要に応じてpostMessage APIを使って安全に通信します。 - ウィンドウ間の通信では、メッセージの送信元を検証します。

Javascript
// 親ウィンドウから子ウィンドウにメッセージを送信 if (childWindow) { childWindow.postMessage('こんにちは、子ウィンドウ!', 'https://child.example.com'); } // 子ウィンドウでメッセージを受信 window.addEventListener('message', function(event) { // 送信元を検証 if (event.origin !== 'https://parent.example.com') { return; } console.log('メッセージを受信:', event.data); });

問題3:ウィンドウのフォーカス状態の制御

ブラウザのセキュリティ上の制約により、意図的にウィンドウのフォーカス状態を完全に制御することはできません。特に、ユーザーが別のウィンドウやタブに切り替えた場合、自動でフォーカスを戻すことはできません。

解決策: - ユーザー操作(ボタンクリックなど)をトリガーとしてフォーカスを切り替えます。 - ウィンドウを前面に表示するだけでなく、ユーザーの注意を引く他の方法(通知、アニメーションなど)も検討します。 - ユーザー体験を損なわない範囲でフォーカスを操作します。

Javascript
// ユーザー操作をトリガーとしてフォーカスを切り替える document.getElementById('bringToFront').addEventListener('click', function() { if (childWindow && !childWindow.closed) { childWindow.focus(); // 通知を表示 // 通知ライブラリを使用するか、カスタム通知を実装 } });

問題4:子ウィンドウの閉じた状態の検知

子ウィンドウがユーザーによって閉じられたかどうかを検知する必要がありますが、これは標準的なAPIでは簡単ではありません。

解決策: - 定期的に子ウィンドウの状態をチェックします。 - window.closedプロパティを使ってウィンドウが閉じられたかどうかを確認します。 - 子ウィンドウが閉じられたときに親ウィンドウに通知する仕組みを実装します。

Javascript
// 子ウィンドウの状態を定期的にチェック const checkChildWindowInterval = setInterval(function() { if (childWindow && childWindow.closed) { console.log('子ウィンドウが閉じられました'); clearInterval(checkChildWindowInterval); childWindow = null; } }, 1000);

まとめ

本記事では、JavaScriptを使って親ウィンドウにフォーカスが当たっても子ウィンドウを表示し続ける方法を解説しました。

  • ポイント1: window.open()で子ウィンドウを作成し、blur/focusイベントでフォーカス状態を監視する
  • ポイント2: 子ウィンドウが閉じられたことを検知するために、定期的にchildWindow.closedプロパティをチェックする
  • ポイント3: 親ウィンドウと子ウィンドウ間の通信にはpostMessage APIを使用し、セキュリティを確保する
  • ポイント4: ユーザー体験を損なわない範囲でウィンドウのフォーカス状態を制御する

この記事を通して、Webアプリケーションにおいて、親ウィンドウの操作に影響されずに子ウィンドウを表示し続ける技術を習得できたことでしょう。今後は、より高度なマルチウィンドウアプリケーションやインタラクティブなユーザーインターフェースの開発にこの知識を活かしてください。

参考資料

この記事を作成するにあたり、以下の資料を参考にしました。