はじめに (対象読者・この記事でわかること)

この記事は、Discordボット開発を始めたばかりの方や、discord.jsの基本的な知識がある中級者を対象としています。特に、ボットの動作をより自然にしたり、ユーザー体験を向上させたりしたい開発者に向けています。

この記事を読むことで、discord.jsを使用したDiscordボットでメッセージに返信する際に、元のメッセージを言及(引用)せずに返信する方法が完全に理解できます。また、特定の条件下でのみ引用を表示する条件付きロジックの実装方法や、一般的なトラブルシューティングの知識も習得できます。

前提知識

この記事を読み進める上で、以下の知識があるとスムーズです。

  • JavaScriptの基本的な知識(非同期処理、Promiseなど)
  • discord.jsの基本的な使い方(ボットのセットアップ、イベントハンドリングなど)
  • Discordサーバーの基本的な操作

discord.jsでの返信メカニズムと問題点

discord.jsでメッセージに返信する際、通常は以下のようにreply()メソッドを使用します。

Javascript
message.reply('返信メッセージ');

このコードを実行すると、Discordクライアント上では以下のように表示されます。

[ユーザー名]: 元のメッセージ [ボット名]: 返信メッセージ

この動作は便利な場合もありますが、以下のような問題点があります。

  1. ボットの応答が冗長になる
  2. 特定の条件下でのみ返信したい場合に柔軟性に欠ける
  3. 大規模なサーバーではチャットが混乱しやすくなる

これらの問題を解決するために、返信時に元のメッセージを言及しない方法を実装する必要があります。

返信時に言及を無効にする実装方法

基本的な実装方法

discord.jsのreply()メソッドは、オプションを指定することで挙動をカスタマイズできます。引用を無効にするには、以下のようにオブジェクト形式で引数を渡します。

Javascript
message.reply({ content: '返信メッセージ', failIfNotExists: false });

このコードを実行すると、Discordクライアント上では以下のように表示されます。

[ボット名]: 返信メッセージ

元のメッセージが引用されず、ボットのメッセージのみが表示されることがわかります。

条件付きでの引用制御

実際のボット開発では、特定の条件下でのみ引用を表示したいケースが多々あります。その場合は、条件分岐を使用して返信方法を切り替えます。

Javascript
// 特定のキーワードが含まれる場合のみ引用付きで返信 if (message.content.includes('引用して')) { message.reply('引用付きで返信します'); } else { // それ以外の場合は引用なしで返信 message.reply({ content: '引用なしで返信します', failIfNotExists: false }); }

高度な実装:カスタム返信関数の作成

より複雑なロジックを実装するために、カスタムの返信関数を作成すると便利です。

Javascript
/** * 引用を制御した返信を行う関数 * @param {Message} message - 返信対象のメッセージオブジェクト * @param {string} content - 返信内容 * @param {boolean} [shouldQuote=false] - 引用するかどうか */ async function controlledReply(message, content, shouldQuote = false) { try { if (shouldQuote) { await message.reply(content); } else { await message.reply({ content, failIfNotExists: false }); } } catch (error) { console.error('返信中にエラーが発生しました:', error); // エラー時のフォールバック処理 await message.channel.send(content); } } // 使用例 controlledReply(message, '通常の返信です'); controlledReply(message, '引用付きの返信です', true);

この関数を使用することで、ボットの各所で一貫した返信ロジックを適用できます。

特定のユーザーへの返信時の挙動制御

特定のユーザー(例:管理者)への返信時のみ引用を有効にするケースもあります。

Javascript
// 管理者ユーザーIDの配列 const adminUserIds = ['123456789', '987654321']; // メッセージ送信者が管理者かどうかを判定 const isAdmin = adminUserIds.includes(message.author.id); // 管理者かどうかで返信方法を切り替え if (isAdmin) { message.reply('管理者への引用付き返信'); } else { message.reply({ content: '一般ユーザーへの引用なし返信', failIfNotExists: false }); }

ハマった点やエラー解決

問題1: 引用が無効にならない

症状: failIfNotExists: falseを指定しても、依然として引用が表示される

原因: discord.jsのバージョンによっては、このオプションが正しく機能しない場合があります。特にバージョン12.0.0未満の古いバージョンではサポートされていない可能性があります。

解決策: 1. discord.jsのバージョンを最新に更新する

Bash
npm install discord.js@latest
  1. 古いバージョンを使用する必要がある場合は、代わりに以下の方法を試す
Javascript
message.channel.send({ content: '返信メッセージ', reply: { messageReference: message.id } });

問題2: 返信時にエラーが発生する

症状: reply()メソッドを実行した際にエラーが発生する

原因: メッセージが削除されている、またはボットに権限がない場合に発生します。

解決策: 1. エラーハンドリングを実装する

Javascript
message.reply({ content: '返信メッセージ', failIfNotExists: false }) .catch(error => { console.error('返信に失敗しました:', error); // フォールバック処理 message.channel.send('返信メッセージ'); });
  1. ボットに適切な権限があるか確認する(特に「メッセージの履歴を表示」権限)

問題3: メンションが意図せず含まれる

症状: 返信時にユーザーがメンションされてしまう

原因: discord.jsのバージョンによっては、reply()メソッドが自動的にメンションを含む場合があります。

解決策: 1. 返信時にメンションを無効にするオプションを追加する

Javascript
message.reply({ content: '返信メッセージ', failIfNotExists: false, allowedMentions: { repliedUser: false } });
  1. チャネル全体のメンション設定を確認する

まとめ

本記事では、discord.jsで返信時に言及を無効にする方法について解説しました。

  • 引用を無効にするには、reply()メソッドのfailIfNotExistsオプションをfalseに設定
  • 条件付きでの引用制御には、if文などの条件分岐を活用
  • エラー処理を実装することで、安定した動作を実現
  • メンションの制御にはallowedMentionsオプションが有効

この記事を通して、Discordボットの返信動作をより柔軟に制御できるようになり、ユーザー体験の向上に貢献できるでしょう。今後は、より高度なボット機能の実装方法や、パフォーマンス最適化のテクニックについても記事にする予定です。

参考資料