はじめに (対象読者・この記事でわかること)

この記事は、Javaを用いたWebアプリケーション開発をEclipseで行っている方、特にTomcatをサーバーとして起動する際に「重大: フィルタ EncodeFilter の起動中の例外です 」というエラーに遭遇した方を対象としています。このエラーは、Webアプリケーションの文字化けや、特定のフィルタ処理が正常に動作しない原因となります。

この記事を読むことで、このエラーが発生する主な原因を理解し、EclipseとTomcatの設定を見直すことで、エラーを解消してWebアプリケーションを正常に起動・実行できるようになります。開発環境で発生した予期せぬエラーに戸惑う時間を減らし、スムーズな開発を進めるための一助となれば幸いです。

前提知識

この記事を読み進める上で、以下の知識があるとスムーズです。

  • Javaの基本的な開発経験
  • Eclipse IDEの基本的な操作
  • Tomcatの基本的な概念(Webサーバーとしての役割)

EclipseでTomcat起動時に「重大: フィルタ EncodeFilter の起動中の例外です 」エラーが発生する原因

この「重大: フィルタ EncodeFilter の起動中の例外です 」というエラーメッセージは、TomcatがWebアプリケーションをデプロイする際に、EncodeFilter という名前のフィルタの初期化に失敗したことを示しています。EncodeFilter は、一般的にリクエストやレスポンスの文字エンコーディングをUTF-8などに統一するために使用されることが多いフィルタです。

このエラーが発生する主な原因は、主に以下の2点に集約されます。

  1. Webアプリケーションのweb.xml (デプロイメントディスクリプタ) の設定不備:
    • EncodeFilter の設定自体が間違っている。
    • servlet-mapping で定義されているURLパターンと、フィルタの適用対象が一致していない。
    • filter-namefilter-class の指定が間違っている。
    • init-param で指定しているパラメータ名や値に誤りがある。
  2. EncodeFilter の実装クラスに問題がある、またはクラスパスに存在しない:
    • filter-class で指定したクラス名が間違っている。
    • 指定したクラスが、WebアプリケーションのWEB-INF/classes ディレクトリやWEB-INF/lib ディレクトリ(JARファイル内)に正しく配置されていない。
    • EncodeFilter が、外部ライブラリに依存しており、そのライブラリがクラスパスに含まれていない。
  3. Tomcat自体の設定や環境の問題:
    • TomcatのバージョンとJavaのバージョンとの互換性に問題がある(稀ですが、考えられます)。
    • EclipseのTomcatサーバー設定が正しく行われていない。

これらの原因の中で、最も一般的で修正しやすいのは、Webアプリケーションのweb.xml の設定不備、またはEncodeFilter のクラスパスの問題です。以下では、これらの原因に焦点を当て、具体的な解決策を解説していきます。

「重大: フィルタ EncodeFilter の起動中の例外です 」エラーの具体的な解決方法

このエラーを解決するために、以下の手順で確認と修正を行っていきましょう。

1. web.xml (デプロイメントディスクリプタ) の設定確認

まず、WebアプリケーションのWEB-INF/web.xml ファイルを開き、EncodeFilter に関する記述を確認します。

1.1. EncodeFilter の設定部分の確認

web.xml の中で、以下のような記述があるか確認してください。

Xml
<filter> <filter-name>EncodeFilter</filter-name> <filter-class>com.example.filter.EncodeFilter</filter-class> <!-- ご自身の実装クラスに合わせて変更してください --> <init-param> <param-name>encoding</param-name> <param-value>UTF-8</param-value> </init-param> </filter> <filter-mapping> <filter-name>EncodeFilter</filter-name> <url-pattern>/*</url-pattern> <!-- 全てのURLパターンに適用する場合 --> </filter-mapping>

確認ポイント:

  • <filter-name>: EncodeFilter となっているか確認します。これは、後述する<filter-mapping><filter-name> と一致している必要があります。
  • <filter-class>: ご自身が実装した EncodeFilter の完全修飾クラス名(パッケージ名を含む)が正しく指定されているか確認します。例えば、com.example.filter.EncodeFilter のようになっているか確認してください。
  • <init-param> (任意): 文字エンコーディングを指定している場合、<param-name>encoding (またはご自身のフィルタが期待するパラメータ名) で、<param-value>UTF-8 など、意図した値になっているか確認します。
  • <url-pattern>: /* は全てのURLパターンにフィルタを適用することを意味します。もし特定のパスのみに適用したい場合は、適切なパターンに変更してください。

1.2. filter-mappingfilter-name の一致確認

<filter> タグで定義した filter-name と、<filter-mapping> タグで指定する filter-name が完全に一致していることを確認してください。大文字・小文字の間違いもエラーの原因となります。

2. EncodeFilter の実装クラスの確認と配置

web.xml で指定した filter-class のJavaソースファイルを確認し、正しく実装されているか、そしてEclipseプロジェクト内で正しく配置・ビルドされているかを確認します。

2.1. Javaソースコードの確認

com.example.filter.EncodeFilter (例) のJavaソースファイルを開き、javax.servlet.Filter インターフェースを実装しているか、init() メソッド、doFilter() メソッド、destroy() メソッドが適切に定義されているか確認します。

Java
package com.example.filter; // web.xmlで指定したパッケージ名と一致させる import java.io.IOException; import javax.servlet.Filter; import javax.servlet.FilterChain; import javax.servlet.FilterConfig; import javax.servlet.ServletException; import javax.servlet.ServletRequest; import javax.servlet.ServletResponse; import javax.servlet.http.HttpServletRequest; import javax.servlet.http.HttpServletResponse; public class EncodeFilter implements Filter { private String encoding = "UTF-8"; // デフォルトエンコーディング @Override public void init(FilterConfig filterConfig) throws ServletException { // web.xmlからencodingパラメータを取得する場合 String encodingParam = filterConfig.getInitParameter("encoding"); if (encodingParam != null && !encodingParam.isEmpty()) { this.encoding = encodingParam; } System.out.println("EncodeFilter initialized with encoding: " + this.encoding); } @Override public void doFilter(ServletRequest request, ServletResponse response, FilterChain chain) throws IOException, ServletException { HttpServletRequest httpRequest = (HttpServletRequest) request; HttpServletResponse httpResponse = (HttpServletResponse) response; // リクエストのエンコーディング設定 httpRequest.setCharacterEncoding(this.encoding); // レスポンスのエンコーディング設定 httpResponse.setContentType("text/html; charset=" + this.encoding); httpResponse.setCharacterEncoding(this.encoding); // 次のフィルタまたはサーブレットへ処理を渡す chain.doFilter(request, response); } @Override public void destroy() { // フィルタ破棄時の処理 } }

注意点:

  • package 文が web.xml<filter-class> で指定したパッケージ名と一致していることを確認してください。
  • init() メソッド内で、filterConfig.getInitParameter() を使用して web.xml で定義した初期化パラメータを取得している場合、パラメータ名が web.xml<param-name> と一致しているか確認します。

2.2. クラスパスと配置の確認

Eclipseでプロジェクトを右クリックし、「ビルド・パス」→「ビルド・パスの構成」を選択します。 「ソース」タブで、EncodeFilter のソースファイルが置かれているディレクトリが「Included」になっていることを確認してください。 また、「ライブラリ」タブで、servlet-api.jar などの必要なサーブレットAPIのJARファイルが参照されていることを確認してください。

ビルドの実行: Eclipseのメニューから「プロジェクト」→「クリーン...」を選択し、「クリーン...」ダイアログで、対象プロジェクトを選択して「OK」をクリックしてください。これにより、プロジェクトが再ビルドされ、コンパイル済みのクラスファイルが正しく生成されます。

3. EclipseのTomcatサーバー設定の確認

Eclipseで設定しているTomcatサーバーの設定に問題がないかも確認します。

  1. 「サーバー」ビューを開く: Eclipseのウィンドウ下部にある「サーバー」ビューを表示します。
  2. Tomcatサーバーをダブルクリック: 起動しようとしているTomcatサーバーをダブルクリックして、設定画面を開きます。
  3. 「Modules」タブの確認:
    • Webアプリケーションが正しくリストアップされているか確認します。
    • 「Path」が意図したパスになっているか確認します。
    • 「Context Root」が適切に設定されているか確認します。
  4. 「Server Locations」タブの確認:
    • Tomcatのインストール場所や、Eclipseが生成するサーバー設定ファイル(wtpwebapps ディレクトリなど)の場所が正しく設定されているか確認します。

4. Tomcatの再起動とデプロイの確認

上記の設定変更を行った後、必ずEclipse上でTomcatサーバーを停止し、再度起動してください。

  1. Tomcatサーバーを停止: 「サーバー」ビューで、Tomcatサーバーの停止ボタン(■)をクリックします。
  2. Tomcatサーバーを起動: 再度、 Tomcatサーバーの起動ボタン(▶)をクリックします。
  3. ログの確認: Tomcatのコンソールログで、エラーメッセージが解消され、EncodeFilter が正常に初期化された旨のメッセージ(例: EncodeFilter initialized with encoding: UTF-8)が表示されるか確認します。

4.1. クリーンデプロイの実施

もし、上記の手順で解決しない場合、一度Tomcatサーバーから該当のWebアプリケーションを削除し、再度デプロイし直す「クリーンデプロイ」を試みてください。

  1. Eclipseの「サーバー」ビューで、対象のWebアプリケーションを右クリックし、「Remove」を選択します。
  2. Tomcatサーバーを停止・起動します。
  3. Eclipseの「パッケージ・エクスプローラー」などから、Webアプリケーションプロジェクトを右クリックし、「実行」→「サーバーで実行」を選択して、再度デプロイします。

5. ハマった点と注意点

  • web.xml の場所: web.xml は、Webアプリケーションの WEB-INF ディレクトリ直下に配置する必要があります。
  • 大文字・小文字の区別: Javaのクラス名、メソッド名、filter-name など、大文字・小文字は厳密に区別されます。
  • コンパイルエラー: EncodeFilter のJavaソースコードにコンパイルエラーがある場合、ビルド時にクラスファイルが生成されず、このエラーが発生する可能性があります。Eclipseの「問題」ビューなどで、コンパイルエラーがないか確認してください。
  • JARファイル内のフィルタ: EncodeFilter が外部ライブラリ(JARファイル)に含まれている場合、そのJARファイルがWebアプリケーションの WEB-INF/lib ディレクトリに正しく配置されているか、Eclipseのビルド・パスで参照されているか確認してください。
  • Tomcatのキャッシュ: まれに、Tomcatが古いデプロイメント情報をキャッシュしている場合があります。Tomcatを完全に停止し、Tomcatの work ディレクトリ(Tomcatのインストールディレクトリ直下)を削除してから再起動することで、キャッシュがクリアされることがあります。ただし、この操作はTomcatの実行中に生成される一時ファイルなども削除するため、実行前にTomcatを停止していることを確認してください。

まとめ

本記事では、Eclipse上でTomcatを起動する際に頻繁に発生する「重大: フィルタ EncodeFilter の起動中の例外です 」エラーについて、その原因と具体的な解決策を解説しました。

  • エラーの主な原因は、web.xml の設定不備、EncodeFilter の実装クラスの誤り、またはクラスパス上の問題であることが多いです。
  • 解決策としては、web.xml の記述確認、EncodeFilter のJavaソースコードと配置の確認、EclipseのTomcatサーバー設定の見直し、そしてTomcatの再起動とクリーンデプロイの実施が有効です。

このエラーに遭遇した際は、今回ご紹介した手順を一つずつ確認していくことで、迅速な問題解決に繋がるはずです。Webアプリケーション開発において、これらの基本的な設定やデバッグスキルは非常に重要です。今後も、開発効率を高めるための様々なテクニックやトラブルシューティングについて発信していく予定です。

参考資料