はじめに (対象読者・この記事でわかること)

この記事は、Windows 10を使用している開発者やシステム管理者で、LinuxサーバーにOracle Databaseをインストールしたい方を対象としています。特に、GUI環境を持たないLinuxサーバーに対して、Windows側のGUIツールを使って操作したい方に最適です。

この記事を読むことで、Windows 10のリモートデスクトップ機能を使ってLinuxサーバーに接続し、そこでOracle Databaseをインストールする方法がわかります。また、インストール前の準備から、実際のインストール手順、トラブルシューティングまで、実践的な知識を習得できます。

前提知識

この記事を読み進める上で、以下の知識があるとスムーズです。

  • Linuxの基本的なコマンド操作
  • データベースの基礎知識
  • ネットワークの基礎知識(IPアドレス、ポート番号など)

WindowsからLinuxへのリモートデスクトップ接続の概要

Windows 10には、標準でリモートデスクトップクライアント(mstsc)が搭載されていますが、これは主にWindows同士の接続に最適化されています。Linuxサーバーに接続する場合、Linux側にxrdpというRDPサーバーをインストールすることで、Windowsのリモートデスクトップクライアントから接続できるようになります。

この方法を使うことで、LinuxサーバーにGUI環境がなくても、Windows側のGUIツールを使って操作できるようになります。特にOracle DatabaseのインストールはGUIインストーラーが使いやすいため、この方法が有効です。

具体的な手順と実装方法

Linuxサーバーへのxrdpインストールと設定

まず、Linuxサーバーにxrdpをインストールします。以下のコマンドを実行してください。

Bash
# システムのアップデート sudo apt update && sudo apt upgrade -y # xrdpとデスクトップ環境のインストール sudo apt install -y xrdp xfce4 xfce4-goodies # xrdpサービスの有効化と起動 sudo systemctl enable xrdp sudo systemctl start xrdp # ファイアウォールの設定(必要に応じて) sudo ufw allow 3389/tcp

次に、xrdpの設定ファイルを編集します。

Bash
# xrdp設定ファイルのバックアップ sudo cp /etc/xrdp/xrdp.ini /etc/xrdp/xrdp.ini.bak # xfce4セッションをデフォルトに設定 echo "startxfce4" > ~/.xsession # xrdpサービスの再起動 sudo systemctl restart xrdp

Windows 10からの接続

Windows 10でリモートデスクトップ接続を開きます。

  1. スタートメニューから「リモートデスクトップ接続」を検索して起動
  2. コンピューター名にLinuxサーバーのIPアドレスを入力
  3. ユーザー名にLinuxのユーザー名を入力
  4. 「接続」をクリック
  5. パスワードを入力してログイン

Oracle Databaseのインストール準備

Linuxサーバーに接続したら、Oracle Databaseのインストール準備を行います。

Bash
# 必要なパッケージのインストール sudo apt install -y alien libaio1 unixodbc # Oracleユーザーとグループの作成 sudo groupadd oinstall sudo groupadd dba sudo useradd -m -g oinstall -G dba oracle sudo passwd oracle # ディレクトリの作成 sudo mkdir -p /u01/app/oracle/product/19.0.0/dbhome_1 sudo chown -R oracle:oinstall /u01 sudo chmod -R 775 /u01 # カーネルパラメータの設定 sudo vi /etc/sysctl.conf # 以下を追加 fs.file-max = 6815744 kernel.sem = 250 32000 100 128 kernel.shmmni = 4096 kernel.shmall = 1073741824 kernel.shmmax = 4398046511104 net.core.rmem_default = 262144 net.core.rmem_max = 4194304 net.core.wmem_default = 262144 net.core.wmem_max = 1048576 fs.aio-max-nr = 1048576 net.ipv4.ip_local_port_range = 9000 65500 # 設定を反映 sudo sysctl -p # 環境変数の設定 sudo vi /home/oracle/.bashrc # 以下を追加 export ORACLE_BASE=/u01/app/oracle export ORACLE_HOME=$ORACLE_BASE/product/19.0.0/dbhome_1 export ORACLE_SID=ORCL export PATH=$ORACLE_HOME/bin:$PATH export LD_LIBRARY_PATH=$ORACLE_HOME/lib:/lib:/usr/lib

Oracle Databaseのダウンロードとインストール

Oracleの公式サイトからOracle Database 19cのLinux版をダウンロードします。

Bash
# Oracleユーザーに切り替え su - oracle # ダウンロードディレクトリに移動 cd /home/oracle/Downloads # ダウンロード(実際のURLはOracleのサイトから取得) wget https://download.oracle.com/otn/linux/oracle19c/193000/LINUX.X64_193000_db_home.zip # 展開 unzip LINUX.X64_193000_db_home.zip -d $ORACLE_HOME # 権限の設定 cd $ORACLE_HOME ./runInstaller

GUIインストーラーが起動するので、以下の手順で進めます。

  1. セキュリティアップデートの設定
  2. インストールオプションの選択(データベースの作成)
  3. システムクラスの選択(デスクトップクラス)
  4. Oracleホームユーザー
  5. インストール先の指定
  6. 事前インストールチェック

ハマった点と解決方法

エラー1: xrdp接続が不安定

症状: リモートデスクトップ接続が頻繁に切断される

原因: xrdpのデフォルト設定ではセッション管理が適切でない

解決策:

Bash
# xrdpの設定ファイルを編集 sudo vi /etc/xrdp/xrdp.ini # 以下の設定を変更または追加 max_bpp=24 # セッションタイムアウトを延長 DisconnectTimeOut=600 # カラーデプスを減らす xserverbpp=16 # サービスの再起動 sudo systemctl restart xrdp

エラー2: Oracleインストーラーが起動しない

症状: ./runInstallerを実行してもGUIが起動しない

原因: ディスプレイの設定や権限の問題

解決策:

Bash
# ディスプレイ変数を設定 export DISPLAY=:10.0 # 必要なパッケージをインストール sudo apt install -y libxrender1 libxtst6 libgtk2.0-0 # 権限を確認 ls -la $ORACLE_HOME/runInstaller # 強制的にGUIモードで起動 $ORACLE_HOME/runInstaller -jreLoc $ORACLE_HOME/jdk

エラー3: インストール中にメモリ不足エラー

症状: インストール中に「メモリ不足」エラーが発生

原因: Linuxサーバーのスワップ領域が不足

解決策:

Bash
# スワップファイルを作成 sudo fallocate -l 4G /swapfile sudo chmod 600 /swapfile sudo mkswap /swapfile sudo swapon /swapfile # 永続化のため/etc/fstabに追加 echo '/swapfile none swap sw 0 0' | sudo tee -a /etc/fstab

まとめ

本記事では、Windows 10からリモートデスクトップでLinuxサーバーに接続し、Oracle Databaseをインストールする方法を解説しました。

  • xrdpを使ったLinuxサーバーへのGUI接続
  • Oracle Database 19cのインストール手順
  • よくあるエラーとその解決策

この記事を通して、Windows環境からでも簡単にLinuxサーバー上でOracle Databaseを構築できることがわかりました。今後は、Oracle Databaseの運用やチューニング、バックアップ戦略についても記事にする予定です。

参考資料