はじめに (対象読者・この記事でわかること)
本記事は、VMware ESXi を日常的に利用しているシステム管理者やインフラエンジニア、または個人で仮想環境を構築している開発者を対象としています。
ESXi 上でゲストOSをインストールした直後、電源を入れ直すたびにインストールウィザードが再表示されてしまい、通常の起動ができないという症状に遭遇したことはありませんか? この記事を読むことで、以下のことが理解・実践できるようになります。
- インストール画面が繰り返し表示される主な原因と背後にある仕組み
- ESXi のブートオプションや VM の設定項目のチェックポイント
- 問題を根本的に解決する手順と、再発防止のベストプラクティス
この問題は、仮想マシンの「ブートオーダー」や「スナップショット」管理の不備が原因で起きることが多く、正しい設定を行うだけで瞬時に復旧できます。実務でのトラブルシューティング時間を大幅に削減したい方は必見です。
前提知識
この記事を読み進める上で、以下の知識があるとスムーズです。
- VMware ESXi の基本的なインストール・管理操作(vSphere Client での VM 作成・設定)
- ゲストOS(Windows / Linux 共通)のインストール手順と、インストール完了後の基本設定
- BIOS/UEFI の概念と、仮想マシンにおけるブートデバイスの指定方法
背景と原因の概要
ESXi 上で新規に仮想マシンを作成し、ゲートウェイやデータベースサーバーなどのミッションクリティカルな OS を導入した際、「電源を入れ直すと毎回インストールウィザードが表示される」という現象が報告されています。
この現象は大きく分けて次の三つの要因が絡み合って発生します。
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ブートオーダーがインストールメディア(ISO)に固定されたまま
インストール完了後に CD/DVD ドライブ(ISO)が最優先で残っていると、VM は常に ISO をブートし続けます。 -
VM の「Power On after Guest OS Installation」オプションが無効
ESXi の自動起動設定が正しくないと、インストール完了後にスナップショットやテンプレート状態に留まり、再起動時にインストールモードへ遷移します。 -
スナップショットやテンプレートの誤用
インストール途中でスナップショットを取得したまま復元すると、インストーラの状態が保持され、再起動時に同じステップが再現されます。
これらの要因は、ESXi の管理画面や CLI(esxcli、PowerCLI)から簡単に確認・修正できます。以下では、実際に手順を追いながら問題の特定と解決を行う方法を詳細に解説します。
具体的な手順と実装方法
ステップ 1:仮想マシンのブートオーダーを確認・修正する
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vSphere Client で対象 VM を選択
「Edit Settings」→「VM Options」→「Boot Options」へ移動します。 -
「Force BIOS setup」や「Boot delay」 が有効になっている場合は無効化します。
これにより、VM が自動的に BIOS/UEFI 設定画面へ遷移しなくなります。 -
「Boot device ordering」 を開き、ISO (CD/DVD) が最上位にあるか を確認します。
- ISO が最上位にある場合は、「Hard Disk」(OS がインストールされたディスク)にドラッグして最上位に持っていきます。
- 変更後は「OK」で保存し、VM を再起動します。
ポイント
ESXi 7.0 以降では、UEFI ファームウェアを使用している場合、UEFI ブートオーダーも同様に確認が必要です。「Edit Settings」→「VM Options」→「Advanced」→「Boot Options」から UEFI ブートエントリを編集できます。
ステップ 2:インストール後の自動起動設定を有効にする
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VM の「Options」タブで「General Options」→「Power Controls」 を確認。
- 「Power on after guest OS installation」 が チェックされていない と、インストール完了後に VM が自動的に停止します。この状態で電源を入れ直すと、再度 ISO がマウントされているケースがあります。 -
チェックボックスをオンにし、設定を保存。
- これにより、インストーラ完了時に自動で VM が起動し、インストールされた OS がブートされます。
ステップ 3:スナップショットとテンプレートの管理を見直す
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スナップショットの一覧を確認
- vSphere Client → 「Snapshots」タブで、現在保存されているスナップショットを一覧表示します。
- 「インストール中」や「初回起動直後」など、インストーラの状態を保持したものが残っている場合は、削除またはマージします。 -
テンプレート化のタイミングを再評価
- OS が完全にインストール・設定されたことを確認した上で、テンプレート化(右クリック → 「Template」 → 「Convert to Template」)を行います。
- テンプレート化前に「Power Off」状態であること、かつ「ISO がアンマウント」されていることを必ず確認してください。
ハマった点やエラー解決
1. ISO が自動的に再マウントされる
- 症状:VM を再起動すると、ISO が自動的に再マウントされ、インストーラが起動する。
- 原因:vSphere Client の「CD/DVD Drive」設定で「Connected」かつ「Connect at power on」が有効になっている。
- 解決策:設定画面で「Connect at power on」のチェックを外すか、ISO を「None」に変更し、保存後に再起動。
2. 「Power on after guest OS installation」 が無効で電源オン時にインストール画面が出る
- 症状:インストール完了後に VM が停止し、手動で電源を入れるとインストーラが再表示される。
- 原因:このオプションが無効になっていると、インストール完了後に ESXi が「Power Off」状態に留まる。再起動時に CD/DVD が優先され、再びインストーラが起動。
- 解決策:上記ステップ 2 でオプションを有効化し、再度インストールを実行。
3. UEFI ブートエントリが残り、古い ISO が優先される
- 症状:BIOS ではなく UEFI が有効な VM で、ブート順序が正しくても ISO が最優先になる。
- 原因:UEFI の「Boot Manager」に残っているエントリが古いまま。
- 解決策:VM の「Edit Settings」→「Advanced」→「Boot Options」→「Firmware」→「EFI」画面で、手動でエントリを削除し、OS ディスクを最上位に設定。
解決策まとめ
- ISO の自動接続を解除し、ブート順序をハードディスク第一位にする
- 「Power on after guest OS installation」 オプションを有効にし、インストール完了後に自動起動させる
- 不要なスナップショットやテンプレート状態を整理し、インストーラ残存状態を排除
- UEFI 環境の場合はブートエントリも確認し、古い ISO エントリを削除
これらを順に実施すれば、VMware ESXi 上のゲストOSがインストール後に電源ONでインストール画面が表示され続ける問題は確実に解消できます。
まとめ
本記事では、VMware ESXi 上でゲストOSが電源ON時にインストール画面が繰り返し表示される問題 の原因と対策を体系的に解説しました。
- ブートオーダーの見直し:ISO が最優先になっていないか確認し、ハードディスクを第一位に設定。
- 自動起動オプションの有効化:インストール完了後に自動で電源オンさせ、インストーラが残らないようにする。
- スナップショット・テンプレート管理:不要なスナップショットの削除と、テンプレート化前の状態確認を徹底。
これらの手順を実行することで、トラブルシューティングに費やす時間を大幅に短縮でき、安定した仮想環境運用が可能になります。次回は、同様の現象が発生した際の自動化スクリプト(PowerCLI)による一括修正方法について取り上げる予定です。
参考資料
- VMware vSphere Documentation - Boot Options
- PowerCLIでのVM設定自動化ガイド
- 「VMware vSphere Design」(Wiley, 2023)
- ESXi FAQ – Boot Issues
