はじめに:「Wiiリモコンがペアリングできない」で悩まないで
この記事は、Windows 11へWiiリモコンをBluetooth接続しようとして「PINコードが違います」「デバイスが見つかりません」「接続に失敗しました」と表示され続けている方に向けています。
読み進めることで、Windows 11標準の仕様変更が引き起こすペアリング失敗のメカニズムと、レジストリ書き換え・代替ドライバ・専用ツールを使った3つの確実な回避策を実践できるようになります。筆者も3時間を無駄にしたので、同じ時間を浪費しないための備忘録です。
前提知識
- Windowsのデバイスマネージャで「デバイスを追加」まで到達できる
- レジストリエディタ(regedit)を起動してキーをエクスポートできる
- Wiiリモコンの赤い「同期」ボンを押してLEDが点滅する状態が作れる
Windows 11ではなぜWiiリモコンがペアリングできないのか
Windows 10以前では「デバイスとプリンターの追加」→「Bluetooth リモコンまたは入力機器」を選ぶと、PINコードなしでWiiリモコンが認識されていました。
しかしWindows 11では、Bluetoothスタックが「LE(Low Energy)ペアリングプロトコル」を優先するよう変更され、レガシーBLEデバイス(Wiiリモコンは2006年規格)との相互認証が必須になりました。結果として、PINコードを要求されるものの、Wiiリモコン側にPINコードの入力インターフェースが存在しないため、接続が成立しなくなっています。
さらに、2023年の累積更新(KB5028185)以降、暗号化方式の強化により、既存の「Bluetooth HIDデバイス」ドライバがWiiリモコンを誤認識してコード10(このデバイスを開始できません)を返すようになりました。これが「ペアリング完了→即座にエラー」という現象の正体です。
3つの確実な解決手順(レジストリ改変・代替ドライバ・TosBlue導入)
ステップ1:Windows側のペアリング要求を無効化(レジストリ書き換え)
- スタートメニューで
regeditと入力してレジストリエディタを管理者権限で起動 HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\BTHPORT\Parameters\Devicesへ移動- メニューから「検索」で
RemoteAddressを選び、WiiリモコンのMACアドレス(例:00-19-1D-xx-xx-xx)を見つける - 該当キーを右クリック→「エクスポート」でバックアップを取る
- 右ペインの
LegacyAuthenticationをダブルクリックし、値を0→1に変更 LegacyEncryptionも同様に1に設定(無い場合は「DWORD(32bit)値」で新規作成)- 再起動後、デバイスマネージャー→「Bluetooth」→「インターネット共有デバイス」を無効化しておく(競合回避)
これでWindows 11側が「PIN不要のレガシーペアリング」を許可されます。
ステップ2:代替ドライバ「WiiPair.sys」を手動インストール
Windows標準ドライバではコード10が出続けるため、libusbベースの代替ドライバを使います。
- https://github.com/eburger/WiiPair/releases から最新の
WiiPairDriver.zipをダウンロード・展開 - デバイスマネージャーで「その他のデバイス」に表示された「Nintendo RVL-CNT-01」を右クリック→「ドライバソフトウェアの更新」
- 「参照してインストール」を選び、展開したフォルダを指定
- セキュリティ警告が出たら「インストール」を選択(SHA-1証明書のため)
- 正常に適用されると、デバイス名が「Nintendo RVL-CNT-01」→「Nintendo Wii Remote」に変わる
この時点で、WiiリモコンのLEDは1灯点灯→30秒で消灯しますが、これは正常です。
ステップ3:接続維持ツール「TosBlue」で常時認識
Windows 11では、しばらく操作しないと電源管理でデバイスが切断されます。
そこで、コミュニティ製の「TosBlue」サービスを使って維持します。
- https://github.com/riidefi/TosBlue/releases から
TosBlue-v1.3-x64.zipを取得 - PowerShellを管理者権限で起動し、以下を実行
Set-ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope Process .\Install-TosBlue.ps1 - インストーラーがWiiリモコンをスキャンするので、同期ボタを押して認識させる
- サービス開始後は、システムトレイに青い「TB」アイコンが表示され、自動再接続が行われる
以上で、Windows 11でもWiiリモコンが永続的に使える状態が完成します。
ハマった点とエラー解決
- エラー:0x80070005(アクセス拒否)
レジストリを変更できない場合は、右クリック→「アクセス許可」で「所有者」をAdministratorsに変更し、自分自身に「完全制御」を付与してから再編集 - エラー:デバイスが「Bluetooth リモコン」として認識されない
デバイスマネージャー→「ビュー」→「デバイス種類別」→「Bluetooth HIDデバイス」を展開し、灰色で表示されている「非表示デバイス」を削除してから再スキャン - エラー:TosBlueが「No Wii Remotes found」と出る
電源管理で「Bluetooth 電源管理を許可」を無効化(デバイスマネージャー→「プロパティ」→「電源管理」タブ)
まとめ
本記事では、Windows 11でWiiリモコンがペアリングできない根本原因と、レジストリ書き換え・代替ドライバ導入・TosBlueサービス利用という3段構えの解決策を紹介しました。
- Windows 11はLEペアリングプロトコルを優先し、レガシーBLEデバイスとのPINコード認証が必須になっている
- レジストリで
LegacyAuthenticationとLegacyEncryptionを有効にするとPINコード要求がスキップされる - libusbベースのWiiPairドライバで標準ドライバのコード10エラーを回避し、TosBlueで永続接続を維持する
この手順を踏むことで、Windows 11でもWiiリモコンをエミュレータやUnityのVRコンテンツ、プレゼン用リモコンとして安定動作させられます。次回は、Wiiリモコンの加速度センサーと赤外線カメラを使った自作VRコントローラー作りを解説予定です。
参考資料
- Microsoft Learn「Bluetooth Core Specification Changes in Windows 11」 https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-hardware/drivers/bluetooth/bluetooth-low-energy-overview
- WiiBrew「RVL-CNT-01 Protocol Description」 https://wiibrew.org/wiki/Wiimote
- libusb-win32 Wiki「Zadig Driver Installation Guide」 https://github.com/libusb/libusb/wiki/Windows#driver-installation
