はじめに (対象読者・この記事でわかること)

この記事は、Raspberry Pi Picoに興味はあるものの、Windows 10環境でのセットアップ方法やPythonでのプログラミングに慣れていない方を対象としています。特に、プログラミング初学者やマイコントローラー開発に挑戦するエンジニアの方々に役立つ内容です。

本記事を読むことで、Windows 10でVSCodeを使ってRaspberry Pi PicoをPythonでプログラミングする環境構築から、基本的なLED点滅プログラムの実装までを一通り学べます。また、VSCodeの便利な拡張機能の使い方や、MicroPythonの基本的な文法についても理解を深めることができます。

前提知識

この記事を読み進める上で、以下の知識があるとスムーズです。 - Pythonの基本的な文法の知識 - コマンドライン(ターミナル)の基本的な操作 - マイクロコントローラーの基本的な概念

Raspberry Pi PicoとMicroPythonの概要

Raspberry Pi Picoは、Raspberry Pi財団が初めて開発したマイクロコントローラーボードです。この小さなボードには、Raspberry Piが独自開発したRP2040チップが搭載されており、デュアルコアARM Cortex-M0+プロセッサを搭載しながも非常に低価格で手に入れることができます。PicoはC/C++とMicroPythonの両方でプログラミング可能ですが、特にPythonでプログラミングできる点は多くのプログラマにとって魅力的です。

Windows 10環境でVSCodeを使用してPicoをプログラミングする方法は、公式ドキュメントでも十分に説明されていますが、実際のセットアップから実行までの手順を一貫して解説したものは少ないです。本記事では、Windows 10でVSCodeを使ってPicoをPythonでプログラミングするための環境構築から、簡単なLED点滅プログラムの実行までをステップバイステップで解説します。

Raspberry Pi PicoをPythonでプログラミングする手順

ステップ1: 必要なものの準備

まず、以下のものを準備します。 1. Raspberry Pi Pico本体 2. Micro USBケーブル(データ転送可能なもの) 3. Windows 10 PC 4. VSCode(インストールされていない場合は公式サイトからインストール)

ステップ2: Raspberry Pi Picoのファームウェア更新

Picoを初めて使用する場合、MicroPythonファームウェアをインストールする必要があります。 1. Raspberry Piの公式サイトから最新のMicroPythonファームウェア(.uf2ファイル)をダウンロードします。 2. PicoをPCに接続し、BOOTSELボタンを押しながらUSBケーブルを挿入します。 3. Picoがストレージデバイスとして認識されるので、ダウンロードした.uf2ファイルをPicoにドラッグ&ドロップします。 4. ファームウェアの書き込みが完了したら、Picoを再起動します。

ステップ3: VSCodeのセットアップ

  1. VSCodeをインストールし、起動します。
  2. 拡張機能マーケットプレースから「Python」拡張機能をインストールします。
  3. 「Raspberry Pi Pico」関連の拡張機能もインストールすると便利です(例: 「Pico-Go」)。

ステップ4: Picoとの接続

  1. PicoをPCに接続します。
  2. VSCodeで「Ctrl + @」を押してターミナルを開きます。
  3. 以下のコマンドを実行してPicoが認識されているか確認します。 ls /dev/tty* COMポートが表示されていれば認識されています。

ステップ5: Thonny IDEのインストール(オプション)

VSCodeでPicoを直接プログラミングする方法もありますが、初心者にはThonny IDEが使いやすいです。 1. Thonnyの公式サイトからインストーラーをダウンロードします。 2. インストールを実行します。 3. Thonnyを起動し、ツール > オプション > インタプリタを選択します。 4. インタプリタとして「MicroPython (Raspberry Pi Pico)」を選択します。 5. ポートとしてPicoに接続されているCOMポートを選択します。

ステップ6: Pythonスクリプトの作成と実行

  1. VSCodeで新しいファイルを作成し、以下のコードを記述します(LEDを点滅させる簡単な例)。 ```python import machine import time

led = machine.Pin(25, machine.Pin.OUT)

while True: led.toggle() time.sleep(1) ``` 2. このファイルをPicoに保存します。Thonnyを使用している場合は、ファイル > 名前を付けて保存 > Raspberry Pi Picoを選択します。 3. スクリプトを実行します。Thonnyを使用している場合は、緑色の実行ボタンをクリックします。

ステップ7: VSCodeのみでの開発(高度な方法)

VSCodeのみでPicoをプログラミングするには、以下の手順を踏みます。 1. PicoをPCに接続し、VSCodeで「Ctrl + Shift + P」を押してコマンドパレットを開きます。 2. 「Remote-SSH: Connect to Host...」と入力し、Picoに接続します。 3. 接続後、VSCodeのリモート開発環境がPico上で動作します。 4. VSCode上でPythonスクリプトを作成し、直接Pico上で実行できます。

ハマった点やエラー解決

PicoがPCに認識されない

原因: USBケーブルがデータ転送非対応の場合があります。 解決策: データ転送が可能なUSBケーブルを使用します。充電専用のケーブルはデータ転送ができないことがあります。

MicroPythonスクリプトが実行されない

原因: ファームウェアが正しくインストールされていない可能性があります。 解決策: ステップ2の手順で再度ファームウェアをインストールします。BOOTSELボタンを押しながら接続することを確認してください。

VSCodeからPicoに接続できない

原因: COMポートの設定が正しくない可能性があります。 解決策: ステップ4でCOMポートを確認し、正しいポートを選択します。デバイスマネージャーでCOMポートの割り当てを確認することも有効です。

スクリプト実行時にエラーが発生する

原因: Pythonコードに文法上の誤りがあるか、Pico上のMicroPythonのバージョンと互換性がない可能性があります。 解決策: コードを再度確認し、公式ドキュメントと照らし合わせて修正します。必要であれば、MicroPythonのバージョンを更新することも検討してください。

まとめ

本記事では、Windows 10環境でVSCodeを使用してRaspberry Pi PicoをPythonでプログラミングする方法を解説しました。環境構築から基本的なLED点滅プログラムの実行まで、ステップバイステップで進めることで、初心者でもPicoでのPythonプログラミングを始められるようになりました。

MicroPythonは、C/C++と比較して学習曲線が緩やかで、プロトタイピングに適しています。PicoはGPIOポートを豊富に備えているため、LED制御だけでなく、センサーデータの取得やモーターの制御など、様々な応用が可能です。

この記事を通して、Raspberry Pi Picoを活用したハードウェアプログラミングの第一歩を踏み出せたことを願っています。今後は、PicoのGPIOポートを利用してセンサーデータを取得したり、モーターを制御したりするなどの発展的な内容にも挑戦してみてください。

参考資料